【掲載開始日】2008年5月 2日
「母の日」に贈る花といえば「カーネーション」と相場が決まっています。
しかし、私には「母の日」にカーネーションを買った記憶が殆どありません
小さくて、優しい、薄い花弁の楚々とした花・カーネーション、それは全く母の好みではない花だからです。
母の好む花には、以下のような特徴があります。
1・大輪の花を咲かせる!
でっかいどー・ほっかいどーに生まれ育った母は、花もまたでかいものを好みます。

2・色が鮮烈である!
ニシン漁で賑わった港町に生まれ育った母は大漁旗のようなハッキリした派手な色を好みます。

3・ほったらかしにしておいても勝手に育つ!
氷点下の低温にも大量の積雪にも、ずぼらな母の性格にも打ち勝てる強い花を好みます。

おかげでご近所のガーデニング好きの方の庭とは草木花の構成がかなり違い、「あそこの庭には変った花が多い」とウワサされているようです(笑)
こうしてそれなりの花の選択をしている母なのですが、自らの力量を超えていることがわかっているのにも関わらずそれでも植えている花が唯一つあるのです。
それは世界中のガーデナーを虜にする美しき貴婦人・薔薇です。
母が好む花の3つの条件のうち、「大輪であること」「鮮烈な色であること」は満たしていますが、「ほったらかしにしておいても育つ」という点ではNGな薔薇なのです。
毎年毎年、肥料や農薬の工夫をして貴婦人に挑む母は、毎年毎年ウドンコ病やアブラムシにしてやられて敗退の歴史を刻み続けるのでした。
それでも諦めきれない母は、冬になるとアートフラワー(造花の一種)の薔薇を作るのです。
白い絹の生地を特別に調合した染料で染め、型紙に沿って切り抜き、コテをあて、接着剤で接着し、薔薇の花の形に作り上げるのです。

そうして母は、「今年こそは庭に美しい薔薇の花を咲かせるのだ」とモチベーションを上げるのでした。
そんな母の元に母が通うアートフラワーの教室の友人からプレゼントが届きました。
アートラフワーの教室の友人のお子さんの入学祝のお返しの品も兼ねたものなのですが、それは母の大好きな薔薇の花だったのです。
でも、なんだか今まで見てきた普通の薔薇の花とは何かが違います。
滑らかな白い陶器製の四角い容器に美しくびっしりと活けられた上品な色合いの薔薇の花、これってお水をあげるにはどうしたらよいのかしら?
疑問に思った母はお礼の電話のついでに、アートフラワーの教室の友人に尋ねてみたのです。
友人氏はころころと上品に笑うと、こう仰ったそうです。
「まあ、あの薔薇は、プリザーブドフラワーなんですよ、お水はいらないんです」
プリザーブドフラワー?
生まれてはじめて聞く単語に、母は驚き慌てて、それが一体何者であるのか知るために友人氏を質問責めにしたのでありました。
そうして、「プリザーブドフラワー」が、生の花を特殊な液体に漬けて加工することによって何年もその美しい色と形を楽しむことができるものであることを知ったのでした。
どうやら友人氏は薔薇が好きなズボラな母のために、ほったらかしにしておいても美しいままの「プリザーブドフラワーの薔薇」をわざわざ選んでくださったらしいのです。
それに気がついたのか気がつかないのか、母は突然こう宣言したのです。
「よし、今年、薔薇の花が咲いたら、プリザーブドフラワーに加工するぞ!」
更なるモチベーションの高揚により、母の庭に美しい薔薇の花は咲き誇るのでしょうか?
正直な話、無理だと思いますので、母の日に私もまた薔薇のプリザーブドフラワーを贈りたいと考えるのでありました。
母の大好きな大輪の派手な真紅の薔薇を。
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